先日、メルマガ読者様から、

こんなご質問をいただきました。

 

「女性活躍推進が一定程度進み、

グローバル化の途上にある組織では、

女性はどのようにキャリアを築いていけばよいのでしょうか。

また、その女性たちを支えるコミュニティは、どのようにあるべきでしょうか。」

 

この方の会社では、女性活躍推進の取り組みが始まって10年。

すでに女性の社内取締役や執行役員が誕生し、

上級管理職、中間管理職の女性比率も改善しているそうです。

 

また、この会社では、グローバル化が進み、

国籍や文化的背景の違いの理解も進めたいとのこと。

今日は、このご質問について考えてみたいと思います。

 

女性活躍もグローバル化も、「多様性」の一部

まず、女性活躍とグローバル化は、別々のテーマのように見えて、

どちらも「多様性」という大きなテーマの中にあります。

 

女性管理職の比率を上げる。

外国籍社員を増やす。

海外拠点との連携を強める。

こうした「人数」や「比率」の改善は、とても大切な第一歩です。

 

この会社は、女性の取締役や役員、

管理職が誕生するところまで、すでに大きな成果を出されています。

だからこそ、次のステージに進むタイミングなのではないでしょうか。

 

次に目指したいのは、

「女性だから」「外国人だから」というカテゴリーだけで人を見るのではなく、

一人ひとりの違いを知り、尊重し、活かす組織」

です。

 

「女性」という枠の中にも、多様性がある。

カテゴリーにとらわれずに「一人の人」としてお互いを知り、リスペクトする。

そんな組織でしょう。

 

一言で「日本人女性」と言っても、

考え方や価値観、目指したいキャリアは一人ひとり異なります。

 

管理職や役員を目指したい人もいれば、

専門性を深めたい人もいます。

海外で働きたい人もいれば、

日本を拠点にグローバルな仕事に関わりたい人もいます。

 

仕事を中心にしたい時期もあれば、家庭や学び、

健康など、ほかのことを優先したい時期もあります。

 

「女性はこうあるべき」ではなく、

「あなたはどんな人で、これからどうしていきたいの?」と問いかけること。

 

それぞれが、自分にとって納得できる

活躍の形を探せるコミュニティが必要なのだと思います。

 

「あなたはどうしたい?」から始まるキャリア支援

私は20年以上前、ロンドンに本社を置く多国籍企業で働いていました。

 

その会社で、組織が多様性に本気で取り組むと、

カルチャーがどのように変わっていくのかを体験しました。

もちろん、女性やさまざまな国籍の社員を増やす取り組みもありました。

 

しかし、それだけではありませんでした。

たとえ同じ国籍、同じ性別、同じような経歴を持つ人であっても、

「あなたはどんな人なのか」

「これから何をしたいのか」

「どのような働き方なら力を発揮できるのか」

ということを、丁寧に引き出してくれました。

 

そして、その人の希望や強みに合わせてキャリアプランを考え、

場合によっては、その人のために新しい役割やポジションをつくることもありました

 

これこそが、単に人を増やす「ダイバーシティ」から、

一人ひとりが活かされる「インクルージョン」への進化なのだと思います。

 

コミュニティは、答えを与える場所ではない

では、女性を支えるコミュニティは、どのようにあるべきでしょうか。

私は、コミュニティは「正しいキャリアの答え」を教える場所ではなく、

さまざまな選択肢や生き方に触れ、自分なりの答えを見つける場所

であると考えています。

 

例えば、私が大好きな活動の一つに、「先輩の声を聞くセッション」があります。

女性だけの場でもよいですし、男女が一緒に参加する形でもよいでしょう。

 

社内の女性取締役や執行役員、管理職の方々によるパネルディスカッションを行う。

海外オフィスから異動してきた社員に、

ほかの国や拠点の働き方、組織文化について話してもらう。

異なる職種やキャリアを歩んできた人に、

どのような選択をしてきたのかを語ってもらう。

こうした話は、性別や国籍にかかわらず、

多くの社員にとって興味深いものになると思います。

 

成功体験だけでなく、「大変だった話」を

こうしたセッションで大切なのは、成功体験だけを話してもらわないことです。

「どのように昇進したのか」

「どんな成果を出したのか」

だけでは、聞いている人にとって

遠い存在に感じられてしまうことがあります

 

むしろ、

「実は、この時期はとても大変だった」

「一度は昇進を諦めようと思った」

「海外のチームとの間で、こんな誤解が起きた」

「自信がなく、なかなか手を挙げられなかった」

といった、失敗や迷い、苦労についても話してもらう。

 

先輩の少しの自己開示が、聞いている人に大きな勇気を与えます。

「この人も、最初から自信があったわけではないんだ」

そう思えることで、自分にも次の一歩が踏み出せるかもしれません。

 

女性活躍推進の「卒業」ではなく、アップデート

女性の取締役や管理職が誕生したからといって、

女性活躍推進が不要になるわけではありません。

 

一方で、これまでとまったく

同じ取り組みを続ければよい、ということでもありません。

女性活躍推進をやめるのではなく、次の段階へアップデートしていく。

 

「女性を増やす」から、

「一人ひとりの違いを活かす」へ。

 

「女性のためのキャリアモデルを示す」から、

「それぞれが自分のキャリアを選べるようにする」へ。

 

そして、女性だけでなく、男性、外国籍社員、中途入社社員、

若手、ベテランなど、さまざまな人が参加できる活動へと広げていく。

 

これからのコミュニティには、

そのような役割が求められているのではないでしょうか。

 

今週、Schooにて

「多様性を強みに変えるインクルーシブマネジメント」

をテーマに登壇します。

 

8月7日、15時から

ライブ配信は無料でご覧いただけます。

 

多様性のある組織で、一人ひとりの違いをどのように理解し、

チームの強みに変えていくのか。

ご関心のある方は、ぜひご覧いただけましたら幸いです。

【Schoo視聴ページ】
https://schoo.jp/class/12857